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  2. 血(けつ)

血は脈管内の赤い液体で、人体の各臓腑・組織・器官を栄養する、人体にとって不可欠な栄養物質である。

血の生成

飲食物は胃に入り、脾で吸収・運化されることによって水穀の精微すいこくのせいびに変化する。

血は水穀の精微営気えいき精髄せいずいを基礎物質として、脾胃・肺・心(脈)・腎・肝などの臓器の機能により生成されている。

血の作用

血は全身の組織・器官に栄養分を供給し、滋潤じじゅんするようにはたらいている。

血によって眼が滋養されれば物をよく見ることができ、足が滋養されれば正常に歩くことができ、てのひらが滋養されれば物をしっかりと握ることができ、指が滋養されればしっかりとつまむことができる。

また、血の滋養を得ることで筋骨は強くたくましくなり、関節はスムーズに動く。

血が不足して充分に栄養が供給されなくなると、眼は乾いて動かしにくくなり、視力は減退し、関節の動きが悪くなり四肢のしびれ・皮膚の乾燥やかゆみなどの症状が現れる。

さらに、血は精神意識活動の基礎物質であり、気血が充足していれば、意識は明瞭で精神活動も充実する。

血が不足すると、驚悸きょうき・不眠・多夢など精神の病変が現れる。

血の循行じゅんこう

血液の循行は気の推動すいどう作用が原動力となっている。

また、全身を循行している血脈はすべてに集まり、肺気の作用を受けた後、ふたたび全身に散布される。

血液の循行は肺のほかに、気の統摂とうせつ1蔵血ぞうけつ2作用・疏泄そせつ3作用によっても調節されている。

  1. 血液が脈管外に漏れ出ないようにする作用のこと。 ↩︎
  2. 血液を蓄え、必要に応じてその蓄えを放出する作用のこと。 ↩︎
  3. 気を全身に巡らせる作用のこと。 ↩︎