
血は脈管内の赤い液体で、人体の各臓腑・組織・器官を栄養する、人体にとって不可欠な栄養物質である。
血の生成
飲食物は胃に入り、脾で吸収・運化されることによって水穀の精微に変化する。
血は水穀の精微・営気・精髄を基礎物質として、脾胃・肺・心(脈)・腎・肝などの臓器の機能により生成されている。
血の作用
血は全身の組織・器官に栄養分を供給し、滋潤するようにはたらいている。
血によって眼が滋養されれば物をよく見ることができ、足が滋養されれば正常に歩くことができ、掌が滋養されれば物をしっかりと握ることができ、指が滋養されればしっかりとつまむことができる。
また、血の滋養を得ることで筋骨は強く逞しくなり、関節はスムーズに動く。
血が不足して充分に栄養が供給されなくなると、眼は乾いて動かしにくくなり、視力は減退し、関節の動きが悪くなり四肢のしびれ・皮膚の乾燥やかゆみなどの症状が現れる。
さらに、血は精神意識活動の基礎物質であり、気血が充足していれば、意識は明瞭で精神活動も充実する。
血が不足すると、驚悸・不眠・多夢など精神の病変が現れる。
血の循行
血液の循行は心気の推動作用が原動力となっている。
また、全身を循行している血脈はすべて肺に集まり、肺気の作用を受けた後、ふたたび全身に散布される。