■ 変形性腰椎症とは
変形性腰椎症は中高年に多く見られ、脊柱の支持組織のひとつである椎間板の変性を基礎として出現する疾患です。(椎間板の構造については腰椎椎間板ヘルニアの項を参照)
椎間板は加齢とともに水分の含有量は著しく減少して、椎間板の厚みは減少します。その結果、椎体や椎間関節に負荷がかかり、椎体辺縁や椎間関節周囲に骨増生、すなわち骨棘形成が生じます。それらの変化が周囲の神経組織を刺激したり、周囲の靭帯や筋にも機能的な変化をおよぼして、腰痛や腰下肢痛症状が出現します。
■ 障害部位に応じた特徴的な症状
①変性に基づく脊柱管狭窄
馬尾神経性間欠跛行(立位姿勢、背屈姿勢、歩行により下肢知覚異常、脱力が増悪し、前屈位での休憩により症状が軽快する)、時に排尿障害、脱力感、腰部重圧感などが訴えられる。
②神経根絞扼
下肢症状(知覚・運動障害で、多くは片側優位)
③椎間板性疼痛
慢性反復性の腰痛で、起床時の腰部のこわばりを訴えることが多く、運動や労作で悪化する傾向を示すことが多い。
④骨原性
多くは併存する骨粗鬆症による腰痛で、体動で増悪し、安静で軽快する傾向がある。
⑤椎間関節性
起床時や動きはじめに特に増悪し、動作の持続により軽快する傾向がある。また、捻転動作で急性増悪する傾向がある。
■ 鍼灸治療
症状の程度によりますが、基本的には鍼灸治療の適応疾患とされています。しかし、高度の下肢の筋萎縮、激しい疼痛、あるいは膀胱・直腸障害などの症状が出現している場合には専門医の診察を受けることが望ましいです。
鍼灸施術として、筋の過緊張に対する刺鍼、椎間関節周囲への刺鍼、末梢神経の走行に沿った刺鍼や施灸、特定の神経への鍼通電療法などを行います。