骨粗鬆症

■ 骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症は、骨強度が低下して骨が脆弱化し、骨折危険率が増大した疾患です。骨強度には、骨量(骨密度)が70%、骨質が30%関与していますが、骨折を起こさなければ、臨床症状はほとんどみられません。したがって、治療目標は骨折の予防です。骨折が発生した場合は、腰背部などの疼痛・長期臥床・姿勢の変化(脊柱の変形)・逆流性食道炎・心理的負担などにより、活動性(ADL)が制限され、生活の質(QOL)が低下するので、これをケアすることが本症の課題となっています。

骨粗鬆症による骨折の好発部位は、①脊椎椎体の圧迫骨折 ②大腿骨頸部骨折 ③橈骨遠位端骨折がある。
脊椎圧迫骨折は、しりもちをついて転倒したり、重いものを持った際に発症することが多いが、全く受傷のない場合にも生じている場合がある。
大腿骨頸部骨折は、つまずいたり、転んだりと行った軽微な受傷が原因となることが多い。
橈骨遠位端骨折は、手掌をついて転倒した際に生ずることが多い。

■ 骨粗鬆症の治療

 骨粗鬆症の治療は、骨折の危険性を抑制し、骨折後には、疼痛の緩和、QOLの維持改善をはかることを目的とします。骨折リスクを低下させるためには、栄養、運動、転倒を回避させる生活習慣、薬物療法を総合的に行うことが勧められます。

■ 鍼灸治療

 鍼灸治療は、慢性期の腰背痛に対して、①脊柱支持筋群の疲労による筋の過緊張の緩和・筋内循環の改善②椎間関節へのストレス③脊髄神経後枝の刺激などによる疼痛の除去を目的として行います。