腰椎分離・すべり症

■ 腰椎分離・すべり症とは

 脊椎分離症とは、椎弓の関節突起間部に裂隙形成(椎弓分離)のあるものをいい、脊椎すべり症とは、脊椎分離症に脊椎すべり(椎体が下方椎体に対して前方へすべる)が合併したものです。すべり症の大部分は第4腰椎の変性すべり症といわれています。
 本症は腰痛の原因になることが多く、時には分離部の腹側を走行する神経根が圧迫、あるいは刺激されると、下肢痛などの下肢神経症状が現れます。

■ 腰椎分離・すべり症の成因

 先天性素因の強いものと後天性のものがあり、前者は若年期に発症し、高度すべりを呈することが多い。後者は日常生活やスポーツを行う際に腰椎下部に負荷が集中しやすい体質を持つ人に発症し、その成因として腰椎の過伸展負荷が加わって関節突起間部に疲労骨折が生じるためと考えられている。

■ 鍼灸治療

 後天的な腰椎分離・すべり症は、鍼灸治療の対象となります。しかし、保存療法により改善しない分離部由来の頑固な腰痛、下肢痛および間欠跛行を有する症例は不適応で、手術適応となります。また、先天的脊椎すべり症のような高度すべり症も不適応となります。
 治療は、主に椎間関節周囲に鍼および施灸を行います。また、下肢への症状があれば神経をターゲットとした施術を行います。