椎間関節性腰痛

■ 椎間関節性腰痛とは

 椎間関節性腰痛とは、一般的には片側または両側の腰・臀・大腿部痛を訴え、神経学的異常所見は認められずに、脊椎の背屈により疼痛が増強される場合に椎間関節由来の腰痛と診断されます。鍼灸臨床においては椎間関節の問題が腰痛の要因の1つであるという範疇で病態把握を行い、椎間関節周辺部へ施術を行うことで高い効果が認められることが多いです。

■ 椎間関節性腰痛の成因

 椎間関節は膝などの関節と同様に、関節包や滑膜、周辺の靭帯などに痛覚受容に関与する神経線維や侵害受容器が豊富に存在し、椎間関節の機械的刺激や炎症により、これらの神経組織が興奮した場合、関節局所の痛みとは別に、痛みのインパルスが椎間関節に分布する脊髄神経後枝内側枝を介して後根神経節、脊髄に伝わり、障害部位とは異なる臀部や大腿部に関連痛を発生させると考えられています。

本症の主要な臨床症状は、下の表のとおりです。

1. 後屈制限と後屈時痛
2. 罹患椎間関節に一致した圧痛
3. 圧痛部の軽度な触覚低下
4. 大腿外側への放散痛
5. 棘突起のゆさぶり振動による罹患関節部の疼痛再現
表1 椎間関節症の主症状

■ 鍼灸治療

 本症は、鍼灸治療の対象となります。主に罹患椎間関節付近への刺鍼による疼痛軽減を図ります。