変形性膝関節症

■ 変形性膝関節症とは

 変形性膝関節症とは、中高年に後発し、関節を構成する組織に慢性の退行変化と増殖性変化が起こり、関節の形態に変化をきたす疾患をいいます。

■ 変形性膝関節症の成因

 発生原因は様々ですが、なかでも加齢と長年にわたる力学的な負荷が主要原因といえます。

■ 病態部位での分類

 変形性膝関節症は病態分類として、①膝蓋大腿関節型1②大腿脛骨関節型、両方の変化を伴う③両関節型の3つに分類できます。

■ 変形性膝関節症の治療

1. 治療対象

 変形性膝関節症は原則的には鍼灸治療の対象となりますが、末期例(手術療法が適応の場合)は不適応となる場合があります。

2. 現代医学的な治療

 まずは保存療法が行われます。保存療法として①大腿四頭筋強化と関節拘縮の予防のための運動療法、②局所温熱療法、③楔形足底装具・膝外反装具などの装具療法、④薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬やヒアルロン酸製剤の関節内注入などが行われますが、炎症症状が強い場合はステロイドの関節内注入も行われることがある)が行われます。なお、進行した病変に対しては手術療法(高位脛骨骨切り術、人工関節片側置換術、人工関節全置換術)が行われます。

3. 現代医学的な鍼灸治療

 鍼灸治療は、膝関節の痛みを取り除くことをまず第1の目的とします。それは、膝痛が膝関節周囲の筋肉や血管を緊張させ循環障害を引き起こし、痛みの悪循環を形成するからです。
 関節内水腫が見られる場合は、膝関節の炎症を抑えることが必要で、これには灸治療の方が効果的です。
 また、大腿四頭筋が萎縮し、筋肉の状態が悪くなっているケースが多くみられるため、マッサージで筋肉の緊張を緩めて柔軟性を上げる施術も行ないます。

4. 東洋医学的な鍼灸治療

 基本的には痹証(行痹、痛痹、着痹、熱痹など)を弁証し、治療を行ないます。
 

  1. 膝関節は大腿骨、脛骨、膝蓋骨で構成されており、大腿骨と脛骨の間には大腿脛骨関節、大腿骨と膝蓋骨(俗にいうお皿)の間には膝蓋大腿関節の2つの大きな関節がある。 ↩︎