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■ 頚部椎間板ヘルニアとは

 頸部椎間板ヘルニアは、頸部椎間板組織が後方線維輪を破って後方あるいは側方に脱出し、脊髄や神経根を圧迫して脊髄症や神経根症の症状を引き起こす疾患です。
 頸部椎間板ヘルニアは、まれな疾患ではなく、日常の臨床でよく遭遇します。鍼灸臨床においては腰部椎間板ヘルニアと同様に重要な疾患です。

1) 神経根症と脊髄症の発生頻度は、神経根症が圧倒的に多い
2) 性別では男性に好発し、男女比は神経根症で2.6〜4:1、脊髄症で2.3〜:1である。
3) 好発年齢は神経根症、脊髄症ともに40〜50歳代である。
4) ヘルニアの椎間板高位
 神経根症は、C6/7椎間が60〜70%と大半を占め、次いでC5/6、C7/Th1、C4/5の順である。脊髄症では、C4/5、C3/4椎間の順である。

■ 現代医学的治療

1. 保存療法
 頸部椎間板ヘルニアの治療の原則は、保存療法です。

①装具療法
 急性期では装具を装着し、全快しなくても3ヶ月後からは徐々に装着時間を短くし、増悪しない最短時間にまで減らしていきます。不動性の筋萎縮からくる支持能の低下を防ぐためです。

②牽引療法
 間欠牽引では13kg程度から始め、頸部痛の出ない範囲で15〜17kgまで増やしていきます。20秒牽引し、2秒休止するという比較的長めのりずむの持続牽引に近い形で行われます。

③薬物療法
 主に、非ステロイド系の消炎鎮痛薬が、内服や坐薬のかたちで投与されます。
 激症例や前述の保存療法で効果が見られない場合は、ステロイド薬の投与や硬膜外ブロックが行われます。

2. 観血的治療
 脊髄症を呈する頸部椎間板ヘルニア例は、ほとんどが手術適応となり、除圧、固定手術が行われます。ただし、他覚的初見が愁訴の割に軽い場合には、むしろ保存療法を続けたほうが良いとされています。

■ 鍼灸治療

 頚椎症と同様であるのでその項を参照してください。