慢性疼痛の定義
疾患の治療に要すると期待される期間を超えて持続する痛み.
国際疼痛学会(IASP)より
期間について明確な基準はありませんが、一般的には3ヶ月以上続く痛みとされています。
急性疼痛は有益ですが、慢性疼痛は身体にとって有害無益なことが多いです。
慢性疼痛の分類
①侵害受容性の慢性疼痛
末梢組織に炎症の源が存在して、感覚神経終末が炎症関連物質によって刺激され、終わりのない痛みが続く場合をいう.
『慢性痛のサイエンス』(医学書院)第3章より
疾患としては、変形性膝関節症(OA)、関節リウマチ(RA)、悪性腫瘍などのように、末梢組織に損傷と炎症が長期にわたって持続する場合が挙げられます。
②神経障害性の慢性疼痛
抹消および中枢神経系が圧迫や切断を受け損傷して生ずる痛みである.
『慢性痛のサイエンス』(医学書院)第4章より
疾患としては、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、脊髄損傷後疼痛、後縦靱帯骨化症、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害性疼痛などが挙げられます。
神経障害性の痛みは特に慢性化しやすいとされています。
③心理社会的要因に影響される慢性疼痛
慢性化すると、痛みの要因はこれら3つのどれかに起因することは少なく、いろいろな要因が複雑に絡んだ混合性疼痛(mixed pain condition)になっていることが多い.
『慢性疼痛診療ガイドライン』総論より