■ 下痢とは
下痢とは水分の多い液状の便を排出する状態で、一般に便通は頻回となるもをのをいいます。
■ 下痢の分類
1. 病態生理に基づく分類
1) 浸透圧性下痢
吸収されにくい高浸透圧性の物質が腸管内に存在することによって発症します。例えば、乳糖不耐症では牛乳を摂取すると下痢を引き起こします。これは乳糖分解酵素が欠如しているために乳糖が分解されず、腸管内の浸透圧が高まることによります。この下痢は高浸透圧性の物質の摂取を中止すれば止まることが特徴です。
2) 滲出性下痢
細菌やウイルス感染による腸炎、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患により腸管壁の浸透圧が亢進し、滲出液が腸管内に流入して腸管内容が増加して下痢が発症します。
3) 分泌性下痢
コレラ菌や病原性大腸菌の毒素などによって腸管の分泌が亢進して腸管内容が増加して下痢が発症します。
4) 腸管運動以上による下痢
甲状腺機能亢進症や過敏性腸症候群などで腸管運動が亢進し、内容物の通過が早まるために起こる場合と、糖尿病などで腸管運動が低下し、内容物の通過が遅延することにより、細菌が増殖して吸収障害が起こる場合とがあります。
2. 経過に基づく分類
大別すると急性下痢と慢性下痢の2つに分類されます。急激に発症し1〜2週間以内に消失するものを急性下痢とし、2〜3週間以上にわたって持続あるいは間欠的に続く場合を慢性下痢としています。
■ 鍼灸治療
1. 治療対象
鍼灸治療の適応となるのは全身状態の良好な慢性の機能性下痢(例えば過敏性腸症候群の下痢タイプなど)と考えられています。
2. 東洋医学的な鍼灸治療
東洋医学では下痢のことを泄瀉といいます。①冷え、②水液の巡りに問題があるもの、③消化不良、④ストレス、などの弁証をして治療します。